第78章

個室に入ってもまだ席に着かないうちに、人々が次々と到着した。

村上聴白は彼らに慣れた様子で挨拶を交わしていた。

「もう全員揃ったのか?」誰かが尋ねた。

「まだ主賓がお見えになっていませんよ」村上聴白は軽く笑いながら答えた。

話している間に、ドアが開き、一人の人影が足早に入ってきた。

その人物が誰なのか確認した瞬間、前田南はその場で凍りついたような気分になった。

望月琛ではないか。どうして彼がどこにでも現れるのだろう、本当に因縁めいた出会いだ。

しかし明らかにこの場では二人とも知り合いであることを示さず、彼女は村上聴白の後ろに控えながら、簡単に挨拶をするだけだった。

だが村上聴...

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